肝心のお客さんはだれなのか。不動産鑑定業界の発注元は大きく分けて、「公的機関」「民間」に分けられる。平成一五年一月一日から同年一二月三一日までの発注元別の報酬額を見ると、公的機関(国、地方公共団体、公団・公社・公庫)からの発注は全体の四六一億円中、「八五・六億円(四〇%)、個人を含む民間部門が二七五・四億円(六〇%)で民間が多い。そのうち知事登録業者が全体の七六%を受注しているが、さらに細かく見ると、知事登録業者は国の仕事の八六%、地方公共団体の八三%を受注している。公的機関からの注文は、地元業者優先で圧倒的に知事登録業者が受注している。一方、大臣登録業者は公団・公社・公庫などの四五%、民間および個人の二八%を受注しているに過ぎない。公的機関と民間の一件平均報酬額は、公的機関の一九万円に対して民間分は二五万三〇〇〇円と、民間分の実入りは高い。公的機関は労多くして実入りは少ないということだ。しかも民間の年間発注数一〇万九〇六一件に対して、公的機関は九万七八二〇件しかなく、件数でも少ない。しかし、公的物件の一件当たり報酬額が低いのは、公示価格、基準地価格調整の一件当たり価格が低いためであり、一般の公的機関からの発注額はかなり高額である。今後、財政のきりつめで公的機関からの発注が減少する一方、民間の金融機関では不動産を担保とした融資を行なう際に、不動産鑑定書を利用することが一般化され、鑑定士への発注が増えることが見込まれる。さらに、平成一八(二〇〇六)年三月期から、企業の所有する不動産の簿価格(貸借対照表上の金額)より時価(市場価格)が低いと、それを損失として計上することになっており、そのための「減損会計」の不動産鑑定需要を考えると、早晩、公的機関と民間の発注量のウエイトが入れ代わり、結果的に知事登録業者と大臣登録業者の売上が逆転する可能性も高い。
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