昭和の時代にはじめて登場した高齢者向けの住宅を見ることにしよう。これはまずきびしい住宅事情にある老人への住宅対策として出発する。その端緒は三八年の老人福祉法の制定であり、福祉的意味合いがないわけではなかったが、制度上成立した老人向け特定目的公営住宅は、当初は高齢者世帯(高齢者夫婦のみ、または一八歳未満の子が同居)のみを対象とした優先入居制度に過ぎなかった。それが、高齢化社会に入り、福祉元年、住宅元年といわれた四五年から四八年にかけて、同居向けの老人室付き住宅や、独立しつつ交流のできるスープの冷めない距離をめざしたペア住宅などが、各地の公営、公団、公社住宅で試みられた。
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ただ、全体的枠組もなく、需要をとらえてのものでもないこの試みはすぐにはうまく定着しなかった。