Iさん宅のプランで1階に居住することを提案したのは、60代という年齢を考えてのことだ。今後年を取って行くなかで足腰が弱り、2階に上がれなくなってしまってはどうしようもない。いつまでも自立してその家で暮らしていくためには、1階ですべての生活ができるという選択がベストである。ところがIさん宅はこれまでずっと、2階をリビングとして暮らしていた。確かに周辺環境をみると南側には隣家が迫っており、1階の日当たりや風通しはあまり良いとはいえない。
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賃貸のリスクなどを考慮して2階を貸すことがベストだとはわかっていても、そこはやはり自分たちの家である。居心地良く快適に暮らせるのが何よりだ。そこで最終的には、2階を居住スペースとして1階の半分を賃貸にするという案で設計を進めることになった。ただしそのためには一つ条件が必要だ。高齢になって2階へ上がれなくなってしまっては、これからつくる家の機能がすべて無駄になってしまう。そのためにはホームエレベーターの導入を想定した方がよい。とはいえまだまだ元気なIさんご夫婦、今すぐにエレベーターが必要になるわけではない。初めからエレベーターに頼りきりの生活をしてしまうと、足腰の弱りが早くなってしまう可能性も高いし、もちろん予算もずいぶん上がる。そこで、将来階段を上れなくなったときに備えて、エレベーターを追加で設置できるような「準備」だけをしておくことにした。